20240127

 ひとり一人独り。今のわたしにはどの漢字があてはまる?これ、とひとつを決められそうな気がするし、はたまたグラデーションがかっているような気もするし。

 それなりにひとり(ないし一人ないし独り)で楽しく暮らしている。街が近くなったからフットワークが軽くなって、羽のようにあちらへ行き、こちらへ行っている。ふらふらしているときがいちばん現実という感じがして好きだ。下宿先に閉じこもっていると、ディストピアにいるのではないかと錯覚してしまう。これはきっと、部屋に日の光があまり差し込まないことに所以している。かといって下宿先が嫌いというわけではないのだが。

 できごとの少ない日々を送っていた私にとって今の生活は穏やかで刺激的だ。週末は自分の足でどこまで行こうか考えるのが楽しい。ふらふらと歩いた先でおいしいごはんに巡り合えるともっと嬉しい。実家にいたときのわたしが、うすい白い膜で覆われているように、全くの別人に感じる。やっぱり、環境が変わると人間も変化するものなのですね。

 花火があがると聞いた。大学の構内からよく見えるということで、何の用事もなくカメラをもって構内に入る。カメラを持っているひとなんて、大学にはめったにいないから、なんとなく後ろめたくて恥ずかしい。大学生の声におどおどする。私も大学生なのに。打ちあがった花火は、冬の澄んだ空にまばゆいひかりを放ち、どっと大きな音をたて、すっと消えていった。