20231202

 気ままな起床。最近は6時半に目が覚めるものの、布団の中で朝が来たことを否定しながら時が過ぎるのを待っている。多分、軽い鬱状態なんだろうと思う。復学が近づいてきて、引越しの日程も決まって、少し気が張り詰めたのかもしれない。やっとの思いで布団を蹴り、リビングに降りる。朝食は肩ロース肉の角煮丼。八角が効いた角煮は歯触りが絹のように柔らかくて、圧力鍋万歳。

 今日は引越しや復学のことを忘れて、ゆっくりしようと決めていた。朝食を食べ、即キャロットケーキ作りに励む。8月に姉の誕生日を祝った時に食べたキャロットケーキの味が好みで、自分でも作ってみることにした。にんじんを100g分すりおろし、カルダモンを粉にする。ナッツを麺棒でたたき、下準備完了。しゃくしゃく、ざりざり、ごんごん、まるで楽器を鳴らしているかのように色んな音を立て、大変愉快である。卵、油、砂糖を混ぜ合わせたボウルに粉類を入れていく。ここでベーキングパウダーがすぐに見つからなくて、軽くふてくされてしまったが、何とか持ち直して、型に流した生地をオーブンに放り込む。焼き上がりはしっとり、ずっしりとしていて、期待が高まりながらケーキが冷めるのを待つ。ケーキが冷めたらチーズフロスティングをかけ、冷蔵庫で冷やして完成。

 ケーキを冷やしている間、山口祐加さんの「自分のために料理を作る」を読んだ。自分のためだけに料理をするのが苦手だけれど、おいしいものは食べたいし、体にいいものを食べたいから自炊をしたい、という私のわがままを叶えるために、読んでみようと思った。本を読んでいるうちに、私は私を信じ切れていないから、自分の料理を安心して食べることができないのではないか、と思った。料理をするのは好きなのに、それが億劫なのは、出来上がるものがおいしいか確信が持てないからではないか。家族が食べてくれるとき、大抵はおいしいと言ってもらえる。ひとりで食事をするときには自分が自分自身の料理を認めてあげなければならない。でも、認めてあげられるほど、今の私は私のことを信用できていない。ここに、なにか糸口がありそうだと、そう思った。

 ケーキが冷えて、紅茶を淹れてお茶をすることにした。今日のケーキは、美味しかったと思う。家族もおいしいと言っていた。今日はひとまず、自分の料理を認めてあげることができた。認めてあげられないとき、私の心象風景はどうなっているんだろう。どうして自分の料理を認められないことがこんなに怖いんだろう。もっと料理をして、食べて、自分の心を観察したいと思う。