失速を繰り返す

 また失速した。

 2週間に1回程度、生活が疎かになる。朝は起きられないし、日課の散歩に出るのも億劫になる。携帯ばかり見ながら、何かしなければと焦り、それができない自分を責める。

 私は、病気をアイデンティティにしないと決めている。だから、生活が疎かになるのも自分の管理不足だと思うようにしている。今回も例によって落ち込んだ。復学までに期間が無いのに、まだコントロールが効かないことに焦る。

 今日も夕方まで寝ていた。起きてすぐ、母に自分への恨み節をこぼす。母曰く、体調に周期があるのは病気からきているのだし、少しずつ回復してきて動けるようになってきているのだから落ち込む必要はない、出来ることをひとつずつやっていくので十分だよ、とのこと。ごもっともだ。

 2回目の休学を決めたとき、ひどい不安と焦燥感でその場から動けなくなってしまった。あれから1年。確かに体は動くようになったし、元気になってきている。でも全快ではない。

 病気の回復は、文字通り健康だったころに逆戻りしていく感じで進んでいるように思う。ひどい体調不良が、軽い体調不良になって、健康に戻る。今はまだ、軽い体調不良の段階にいるのだろう。

 病気をアイデンティティにしないことと、病気を抱える自分を認めて労わることは両立できるのかもしれない。溺れたときにじたばたするとさらに溺れるように、病気を無視して生活を立て直そうとすると焦りや不安が増幅するように思う。

 これから先、何年も失速を繰り返すだろう。病気はアイデンティティではないけど、一生ついて回るのだ。失速を認められるようになった時、うまく受け身を取れるようになった時、また一歩健康だった頃の私に近づくのかもしれない。