鳥取旅行記

 9月の下旬、母が図書館で大量に借りてきた旅行雑誌の中から、家族全員でここ!と意見が一致して鳥取に旅行することに。父が海外出張で貯めに貯めたマイルの期限が年度末で切れるとのことで、それを消費するべくかなりカジュアルに旅行することが決まった。旅行に行くことの意思決定が羽のように軽くて思わず笑ってしまう。

 そんなこんなで宿やレンタカーを手配したり、Googleマップに行きたいところリストを作っている間にあっという間に1か月が経ち、鳥取旅行スタート。

 

10月22日

 行きの飛行機に乗るために5時起き。最近は朝寝坊が酷くて9時とかに起きているのに、目的がはっきりした途端しっかり起きられてあきれてしまう。朝ごはんをかっこみ、荒れている肌に無理矢理ファンデーションを塗って、スーツケースにメイク道具を押し込む。

 車中で睡眠をとり、空港に到着。5年前に長崎に旅行して以来、かつパニックが出始めてから初めての飛行機への搭乗だったため、緊張して搭乗手続きを済ませるまでの短い時間に何度もお手洗いに行った。幸い飛行機では落ち着いて過ごせたので一安心。

 無事鳥取砂丘コナン空港に到着。空港内ではコナンのタイトル曲がずっと流れていた。

 

 海岸沿いを走って、白兎神社に参拝することに。「因幡の白兎」の逸話の聖地である白兎神社は逸話の内容から縁結びの神様が祭られているとのことで、多くの観光客が訪れていた。特に中国人観光客が多かったのだけれど、なんでここだけ中国人が多かったのか、その理由は分からない。

 白兎海岸を背に兎の写真を撮る。兎の上には縁結びの石がたくさん置かれていた。

 

 レンタカーを走らせて小一時間。倉吉市の白壁土蔵群に到着。白の漆喰の壁と赤瓦が良く晴れた空に映える。ひとつひとつの蔵のそばには小さな堀があって、そこに水が流れ橋がかかっている。

 

 この日はとても天気が良くて、散策していると汗が止まらない。喉も乾いてきたので、事前にチェックしていたミックスジュースのお店「くだものや」へ。「くだものや」は鳥取県内のフルーツを豆乳とミックスしたジュースを出しているお店。私たちは鳥取県の名物の梨と小松菜を使った「梨グリーン」を注文した。

 氷不使用なのにひんやりとしておいしい。もしかしたら果物を凍らせているのかもしれない。小松菜の青い香りと梨の甘い香りがふんわりと香って、豆の臭いが抑えめで濃厚な豆乳を使っているのに爽やかな味わいだった。

 冷たい飲みもので喉を潤した後はお土産を調達。「元帥酒蔵」に立ち寄り、鳥取県産の酒米「強力(ごうりき)」を使った純米大吟醸を購入。勢いで純米大吟醸を買ってしまったものだから、あとでもう一度値段を見てびっくりした。いつも買うような純米酒よりも1000円くらい高い。

 

 倉吉を満喫した後は、今夜泊まる三朝温泉「木屋旅館」へ。旅館について一休みしてから足湯めぐりをする。三朝温泉ラドン温泉で有名で、ラジウムラドンにα崩壊することで放射線を発する。これによってホルミシス効果があるとのことだけれど、本当か?という気持ち。でも、足湯はぴりぴりして気持ちが良かった。

 夕方の三朝温泉は、のどかで雰囲気があった。

 一通り散策した後、木屋旅館に併設している喫茶店「木々」へ。木々のマスターはもともと木屋旅館の旦那で、今は息子さんに旅館を譲り、自分はのんびりと喫茶店で煙草を吸いながらコーヒーを淹れて客をもてなしているらしい。サイフォンでコーヒーを淹れてもらい、一休みする。

 一休みして、さあそろそろ旅館に戻ろうか、というところで、マスターが立ち上がった。「お母さん。」とおもむろに母に声をかける。「似顔絵を描きましょう。」

 この日は両親と娘の私で旅行に出かけたけれど、家長の父でもなく、若い娘の私でもなく、普段あまり矢面に立たない母が指名されて、母は大慌てで、たじろいでしまった。普段主人公にならない母の指名とその反応が面白くて面白くて、私と父は両手を叩いて「ぜひ描いてもらいましょう。」と母を煽てた。母がマスターと向かい合って描いてもらうのを散々写真に撮る。

 母が似顔絵を描いてもらっているのをみたら、私もうらやましくなって描いてもらいたくなった。マスターが一服し始めたときに「私も描いてもらいたいです!」と話しかけたら、今度はマスターがたじろいだ。「手の内がばれちゃっているからなあ。」

 今度は私がマスターと向き合って、似顔絵を描いてもらう。そんなときにありがたいお話をたくさんしてもらった。世界情勢の話とか、マスターが学生だった頃の話とか。(現在70代で、当時大学に通っていたなんて、相当優秀な方なんだろうと思う。)そのなかでも、「チャンスは逃してはいけない、チャンスが来た時にすぐに掴めるように腕を磨いておかなければいけない」という言葉が、今の自分に投げかけられたようで、心に残っている。マスターの話は示唆深く、まだ若造の私には分からないこともあったけれど、きっと後になって効いてくるんだろうと思う。そんな話をしてくれる大人に巡り合えてうれしく思う。

 

 木々を後にして、8年ぶりの懐石料理に舌鼓を打って、温泉に入り、日記を書いて就寝。

 

10月23日

 朝5時に起床。温泉に入る。木屋旅館の温泉を制覇し、最後に地熱で温められたオンドル(岩盤浴みたいなもの)に入る。オンドルは30℃程度の低温サウナのようで、じんわり温かくて、うっかりすると寝てしまいそうなくらい気持ちが良かった。

 朝食を食べ、荒れた肌に無理矢理化粧をし、宿を後にする。

 

 レンタカーに乗り込み、若桜町に向かう。街並みが綺麗で、行ってみたい!と熱望したところだ。若桜駅は鉄道のデザインで有名な水戸岡鋭治さんがデザインしたとのことで、重厚感があり、かつレトロな雰囲気が漂っていた。鉄道ファンにも人気なようで、鉄印(御朱印の鉄道版)を手に入れている人が多くいた。

 訪れた日の前日は鉄道のイベントがあったようで、SLがショッキングピンクに塗られていた。よく晴れた空によく映える。最近家族でハマっている鉄道写真家の中井精也さんや、ダーリンハニーの吉川さん、誰かのマネージャーで鉄道好きの南田君もイベントでトークショーをしていたらしく、普段から鉄道番組を観る私たちは、ニアミスだったねーと少し残念がった。(別に鉄道が好きなわけではなく、鉄道が好きなひとの熱意が好きなのだ。)

 若桜駅近くの道の駅で栃羊羹と二十世紀梨羊羹を買う。後から見たら梨羊羹は山梨で作られているものだったらしく、観光客らしいミスをしたねーと笑った。

 

 思っていたよりも順調に日程が進んでしまい、時間が余ったので次の日に行く予定だった鳥取砂丘へ車を走らせる。

 絶景。砂丘のスケールに圧倒されて言葉を失う。日が傾いて、馬の背と呼ばれる一番砂が高いところに影が落ちていて、その高さが強調されていた。

 馬の背には次の日に上ることにして、砂丘を40分程度散歩する。

 砂丘の絶景を見ながら、朝、和菓子屋さんで手に入れた栃餅を食べる。

 

 ビジネスホテルに宿泊。近場の居酒屋で猛者えびを食べ、日記を書き、SEVENTEENの新曲を聴いて、姉とLINEして就寝。

 

10月24日

 6時半に起床。ついに肌荒れが酷くなってきた。無理矢理化粧をするが、口周りの皮膚が剥がれてくる。スーツケースにすべての荷物を詰め込む。

 

 念願のすなば珈琲でのモーニングに備え、7時50分に宿を後にする。行列になると聞いていたから早めに来たが、誰もいない。と思っていたら、8時になると後ろに5組ほど並んでいて、早めに来てよかった。昨日居酒屋で居合わせたご夫婦も並んでいて、観光客あるあるの行動なんだろうなと思う。

 すなば珈琲のコーヒーはカップがずんぐりむっくりしていてたっぷりと飲めた。ここのコーヒーもサイフォン式で、ハンドドリップとの違いはよく分からないけれどなんとなくありがたい気持ちになった。

 

 再び鳥取砂丘へ。早朝だったので砂紋が良く見えた。日の当たる向きも昨日とは正反対で、背が高く見えた馬の背が、この日はのっぺりとしてどこまで高いのかよく分からなくなった。

 ついに高低差47mの馬の背に上る。緩い坂道のコースを選んで登ったが、砂に足を取られてうまく登れない。ようやく登りきると、向こう側には海が見えた。

 馬の背を登りきると、小学生の遠足集団が訪れていて、砂紋がすぐに踏み消されてしまった。写真に収められてよかった。人の影が小さく、スケール感が分からなくなる。

 馬の背を降りて、砂丘にあるオアシスに足を運んだ。反射して写る自分を写真に撮ってもらい、LINEのアイコンにする。

 

 また時間が余り、仁風閣へ行くことにした。歴史のことは恥ずかしながらあまりよく分かっていないが、明治の洋風建築らしい。入口のところで東郷平八郎について受付の女性に大声で語っている人がいて、マンスプレイニングやめなよと思った。東郷平八郎の書はいい字でかっこよかった。

 西洋と東洋の文化が混和した庭園で写真を撮る。

 

 仁風閣を後にして、昼食と猛者えびを目指して海鮮市場かろいちを目指すも、臨時休業。近くの食堂で海鮮丼を食べる。えびの頭の味噌がうま味が強く、濃厚で美味しかった。

 

 すべての日程を終え、レンタカーを返し、飛行機に乗り込んだ。帰りの飛行機では富士山が良く見えた。

 

 2泊3日の旅行を終え、帰宅。買ったお土産の量がすごい、かつ全て食べ物だった。全て紹介して、旅行記を締めたいと思う。

  • 純米大吟醸
  • 打吹団子
  • 栃餅
  • 梨、柿、トマトのドライフルーツ
  • 梨羊羹
  • 栃羊羹
  • しぼりたてにごり生原酒
  • 梨のワイン
  • 倉吉ウイスキーのビール
  • あごちくわ①
  • あごちくわ②
  • とうふちくわ
  • 焼きとうふちくわ
  • 梨3個
  • 梨あんパン
  • すなば珈琲の粉のコーヒー