宣言

 普通に起きて、普通にご飯を食べて、普通に勉強して、普通に会話して。

 普通に生活することの、なんと尊いことか。

 

 この4年間は普通の生活じゃなかった。普通じゃない生活が当たり前になって、だんだん生活の色どりが薄く淡くなっていった感覚。新しい普通が自分に訪れたのだと納得しようとしたけれど、やっぱり元の普通に戻りたい。

 約3年間の休学。大学に通えなかった時期も含めると、約4年間の足止め。途中1年間は大学に通ったけれど、耐えきれなくてまた倒れた。周りはどんどん大人になっていくし、疎遠になって友達は減った。自己対話が増え、ネガティブな言葉が体内にこだまする日々。身体は思うように動かないし、現実から逃げるように泥のように眠ることも多々あった。

 怠惰だったのだ。新しい普通とは、怠惰だった。私の性分は、怠惰だった。

 もちろん、原因があっての新しい普通なのだから、全くの怠惰ではない。それでも、新しい普通に抗いもせず、飲み込まれていったのは、紛れもない私の怠惰な部分が原因だ。

 

 一昨日、大学で使っていた教科書を開き、机に向かってみた。目が滑りながらも、理解しようと努める。この瞬間、一縷の望みがみえた。

 新しい普通に、怠惰な自分に、抗えるかもしれない。

 今までは大学の教科書を視界に入れるだけでも辛かった。そこに挑戦できなかった自分を見るようで辛かった。目を背けていた。新しい普通に飲み込まれていた。

 今、私は変わっていた。普通の生活を掴もうと、自然に行動できている。

 

 普通の生活は尊い。当たり前にあるものだと思っていた自分が恥ずかしい。一度崖底に突き落とされてそこに安住しようとしていた自分が恥ずかしい。普通の生活がしたい。そのためにできることは、怠惰な自分を奮い立たせて、崖の岩をひとつずつ登っていく努力をすることだ。ここに書き記して、努力の宣言とする。